我が家では、子供の熱望校(第一志望)を「チャレンジ校」、実力相応校(第二志望)を「本命校」、安全校(第三志望以下)を「志望校」と呼んでいました。数字を取り除くことで優先順位がなくなり、子供のプレッシャーを取り除くことができるかなと考えたからです。でも、結局親の方はどの学校の受験でも緊張しますね。今回は、チャレンジ校を受験した時のお話です。
入試の朝はいつものルーティーン
受験日の朝は早い。朝4時に起きて部屋を暖め、自分の身支度、弟の学校や塾の準備を済ませ、朝ごはんが整ったら娘を起こします。受験当日の朝ごはんは決まって温かいうどん。そして着替えを済ませたあと、ルーティーンとなっている朝学習です。本当は算数の計算問題をやらせたかったのですが、本人の希望もあり、娘とは得意科目の国語をやることで合意しました。頭の準備体操になるなら何でも良いかなと、銀本から1題選んでサクッと。持ち物の最終確認をして、時間になったら出発です!いよいよ第一志望校の入試。一瞬緊張が走ります。
【中学入試】朝の風物詩だった塾の応援
校門付近には、朝早くからたくさんの塾の先生が応援に駆けつけていました。自分の生徒だけでなく、塾の垣根を超えて、受験生全員に声援を送っている姿は胸を打つものがあります。サピックスの旗を持った先生も、日能研バックを背負った受験生に「がんばってねー!」と・・・傍から見ると、とてもありがたい心温まるエピソードです。
でも、コロナ禍で塾の入試応援が自粛されているなか贅沢な話なのですが、娘はこの朝の応援が苦手でした。娘の場合、この応援で逆に緊張が高まって自分のペースが乱されてしまうそうなのです。知らない人にペコペコ頭を下げながら学校へ入っていくことで疲れ切ってしまうと。1月前半の入試でそれに気が付いて以来、我々親子がとった秘策は、気を遣うことなく「ガン無視」です。(関係者のみなさま本当にすみません🙇)自分の気持ちを優先したことで連敗から脱出。この塩対応がゲン担ぎにもなっていました。
小さな戦士の頼もしい後ろ姿
「お昼ごはんは何か美味しいもの食べようね。楽しんできて^^」そんなことを言って笑顔で送り出しました。
たったひとりで入試会場へと入っていくお子さんの後ろ姿をみて、きっと多くの親御さんが涙するのではないでしょうか。日能研へ入塾したばかりの頃、真っ青なバッグを背負った後姿を心配そうに見送りましたよね、私たち。あの時は、まさかここまで辿りつくことができるなんて想像もしていませんでした。成長の喜びと、親の手を離れていく寂しさとで、感情が大渋滞。今日ここに私を連れてきてくれただけで、こんな気持ちを味合わせてくれただけで、充分すぎるくらいの親孝行です。
精一杯走り切った受験勉強に悔いなし
終了の時間を迎えるころには、無事受験できた安堵と、このチャレンジも終わりを迎えてしまうのだという寂しさが襲ってきました。あとは結果を待つだけ。
退出口まで娘を迎えに行くと、私を見つけた娘は満面の笑みで駆け寄ってきました。「算数できた!私、算数できたよ!!!」ガッツポーズで嬉しそうに報告してくれました。娘は算数が苦手です。正確には、苦手意識が強いです。なので、他校の入試でも、塾の模試でも、「算数ができた」と言ったことは一度もありません。第一志望校の入試の日に初めて、何年も苦しんできた算数に手ごたえを感じることができたのです。娘からこんな言葉まで聞くことができて、『もう悔いはない』私は心の底からそう思いました。でもね、子どもが「出来た」言った科目ほど、実際には出来ていないことが多い。これは模試でも散々経験済み。嫌な予感は横切りましたが、それはひとまず封印しました。
中学受験の長い長い1日
入試が始まると、子どもは興奮モードに入ります。テンション高めでしゃべりまくるというお子さんも多いんじゃないでしょうか。大人の方はぐったりしているのですが、子どもは元気ですね。次の日の準備をしながら、「今朝家を出た時のことが、もう1週間前くらいのことのように思えるな」などと考えていました。まるで異次元へとんで、また帰ってきたかのような感覚です。やはり、中学受験て親にとっても非日常。
子どもと一緒にたくさんの経験をさせてもらて、親も最後の最後まで人として成長できる。それが中学受験の良さのひとつです。これから受験を控えている親御さんには、最後の一瞬まで伴走を楽しんで欲しいです。
桜が咲くことを願っています。
↓共感しすぎて苦しい。ひとり息子の中学受験挑戦の物語↓